臼蓋形成不全ってこんな病気
股関節は骨盤側と大腿骨側に分けることができます。その骨盤側、すなわち屋根のひさしの部分の張り出しが少ないことを臼蓋形成不全(きゅうがい けいせいふぜん)と呼びます。
大腿骨頭(大腿骨のあたまの部分)の一部分でしか体重を支えることができないために、寿命を全うする前に関節が壊れてしまうわけです。
欧米人に比べて日本人に多いと言われており、本邦での変形性股関節症の80%は臼蓋形成不全(きゅうがい けいせいふぜん)が原因であると言われています。
生まれたときに股関節脱臼を生じてしまった患者さんが、成人まで成長したあとに形成不全が残って屋根が足らない状況を作ってしまうわけです。
はじめは片側の股関節が痛くなってきますので、それをかばって反対側に主に体重をかけて歩いている患者さんが多いように思います。しかし、長期間痛い方の関節をかばって生活していると、両側とも同時に悪くなっていくことが多いので注意が必要です。
臼蓋形成不全の治療法・手術は?
臼蓋形成不全は、手術的な治療が主体になります。なぜなら、屋根が足らないのが原因ですので、リハビリ等の保存療法では解決できないことが多いです。
手術は二種類、骨切り術と人工股関節置換術
20代から30代後半までの若い患者さんの場合には、骨切り術がおすすめされます。色々な方法がありますが、足らない屋根のひさしの部分を追加するような手術が行われます。
しかしながらどの骨切り術にも言えることですが、治療期間が長いこと(ときに数か月に及ぶ)と、一回の手術で解決する例は稀であること、手術後も痛みが残ることが多いことなどが懸念点として挙げられます。
もう一つの方法は、人工股関節手術です。こちらは成績も安定しており、入院期間が短く(7~10日間)、うまくいけば一回の手術で終わり、術後の痛みも残らないことなどから、最近は40歳以上であれば圧倒的に人工股関節手術を選択される患者さんが多いように思われます。特に、両側とも臼蓋形成不全の場合には両側同時手術も可能ですので、一気に治療期間が短縮され早期の社会復帰を望まれる患者さんには適していると言えます。
脱臼リスクが少ない手術方法、仰臥位前外側アプローチ(ALS THA)を検討している方は、ご相談に乗りますので、ご連絡ください。人工股関節専門ドクター・久留隆史医師がご回答致します。板橋中央総合病院にて外来受診可能です。
板橋中央総合病院にて数多くの人工股関節手術を執刀している。 術後の合併症である脱臼を減らすために筋腱完全温存手技を実施し、更なる技術の研鑽に努める。 手術を受けた患者の中には術後バレエやサーフィンを楽しんでいる人もいらっしゃいます。 気になることがあればお気軽にご相談ください。