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筋腱完全温存による人工股関節手術とスポーツ復帰の可能性

筋腱完全温存の人工股関節手術を始めて10年

2016年より、筋腱完全温存による人工股関節手術を行うようになり、早くも10年が経過しました。
当初は、脱臼に対してどれだけ効果があるものかを計りかねていましたので、術後のスポーツ復帰について積極的なアプローチは控えていました。
しかし症例を重ねるにつれ、ある程度激しい動きにおいても脱臼が生じないことが次第に明らかになってきました。

クラシックバレエで検証した股関節の安全性

そこでまず、股関節の可動域が非常に大きいスポーツの代表ともいえるクラシックバレエの患者さんに対し、筋腱完全温存手術を行い、術後の股関節の動きをつぶさに観察しました。

X線透視装置台でY字バランス


患者さんにご協力いただき、X線透視装置台の上でさまざまなバレエのポーズを取っていただいたところ、脱臼を懸念させるような動きは生じえないことがはっきりと観察できました。筋腱完全温存手術によって温存された筋肉が股関節の過度な動きを制限し、骨盤本来の動きが加わることで、大きな可動域を生み出していることが改めて認識できたわけです。


この患者さんはクラシックバレエの指導者でありましたので、さまざまな動きをビデオ撮影しながら検証と議論を重ね、最終的にはすべての動きが可能であることが証明されました。

広がるスポーツ復帰の実績

その後、「人づてに聞いた」と言ってスポーツ復帰を希望する患者さんが次第に集まってくるようになり、現在では私が執刀した100名を超える患者さんがスポーツ復帰を果たしております。
クラシックバレエの指導者も十数名にのぼり、バレエ愛好家を含めると30名以上の方が、元のレベルと同様、あるいはそれ以上のレベルまで回復されております。
さらに、

  • モダンダンス
  • 社交ダンス
  • ラテンダンス
  • タヒチダンス
  • エアロビクス
  • ジャズダンス
  • フラダンス
  • などを含めると、50〜60名以上のダンス復帰を後押しすることができました。

    対応可能なスポーツの幅

    私(久留隆史)が執刀した患者さんの中では、ダンス以外にも、以下のような多岐にわたるスポーツの復帰が確認されています。
    バレーボール、バドミントン、サッカー、野球、バスケットボール、ゴルフ、テニス、太極拳、合気道、空手、ヨガ、ピラティス、スキー、スノーボード、卓球、ボウリング、サーフィン、スキューバダイビング、水泳、登山、ハイキング、ボルダリング、スカッシュ、マラソン、ジョギング、重量挙げ、ハンマー投げ、円盤投げ、やり投げ など

    推奨していないスポーツについて

    一方で、私が復帰を勧めていないスポーツもあります。
    具体的には、

  • アメリカンフットボール
  • ラグビー
  • 柔道
  • 総合格闘技
  • といった激しいぶつかり合いと関節技を伴う競技、また

  • ウエイクボードのような水上で激しく飛ばされる危険を伴うマリンスポーツ
  • については、慎重な判断が必要であると考えています。

    これからの人工股関節手術に求められること

    現代社会において、人工股関節手術の成績向上により、まだ十分に体力がある青・壮年期の患者さんが手術を受ける機会が増えています。
    今後も、できる限り多くの患者さんの「スポーツ復帰したい」という思いに応えられるよう、引き続き研鑽を重ねてまいります。

    脱臼リスクは手術手技(手術方法)や医師の技量に大きく左右されます。
    しっかりと正しい知識をつけて、どこでどのような手術を受けるか判断するとよいでしょう。

    筋腱完全温存による人工股関節手術についてはこちらで解説しています。

    筋腱完全温存とは

    脱臼リスクが少ない手術方法・仰臥位前外側アプローチ(ALS THA)を検討している方は、ご相談に乗りますのでご連絡ください。人工股関節専門ドクター・久留隆史医師がご回答致します。板橋中央総合病院にて外来受診可能です。

    前方系アプローチ