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大腿骨頭壊死症とは

大腿骨頭壊死症ってこんな病気

大腿骨頭壊死症とは、大腿骨頭(大腿骨の頭で、股関節の動きの中心)の骨の中が壊死(血液が通わなくなり組織が死んでしまう)する病気です。原因ははっきりわかっていませんが、お酒をたくさん飲む人や病気の治療のためにステロイド剤(副腎皮質ホルモン)を使用した患者さんに生じることが多いことがわかっています。勿論、原因として特に心当たりがないのに生じる特発性(とくはつせい)大腿骨頭壊死症と呼ばれる病態も多く見受けられます。

大腿骨頭壊死症の症状は?

症状としては、突然に誘因なく股関節(脚の付け根)に痛みが生じます。なかなか治らないので病院に行って診断されるのですが、初期にはレントゲンだけでは診断がつかないことも多い病気です。若い年齢層の患者さんが罹患(りかん)することも多く、基本的には予防法や治療法(手術治療以外の)が無いので、「国指定の難病」のひとつに指定されています。難病指定疾患ですので、治療にかかる医療費が免除されるシステムがあります。早めに申請して治療に臨まれるのが良いでしょう。

大腿骨頭壊死症の治療法・手術は?

骨頭壊死は治らない病気であり壊死した組織の再生は不可能と考えられていますので、 治療法としては基本的に手術治療がメインとなります。

手術は二種類、骨切り術と人工股関節置換術

手術には大きく分けて、骨切り術と人工股関節置換術の二つがあります。日本では20~30歳ぐらいの若い患者さんに対して骨切り術が選択されることもありますが、欧米ではあまり行われていないのが現状です。その理由はあまり成績がよくないこと、骨切り術を受けるに該当する患者さんが少ないこと、骨切り術がうまくいかなかった後に実施される人工股関節置換術が難しくなることが挙げられています。
40歳以上の患者さんであれば、最初から人工股関節置換術を受けるのが良いでしょう。

壊死が大きい場合は人工股関節手術

大腿骨頭壊死症で人工股関節手術を受ける場合は、壊死の大きさと骨頭の潰れ具合によって、骨切り術と人工股関節手術のどちらが適しているか検討されます。人工股関節置換術は、壊死が大きい場合や骨頭の圧潰が進行している場合に適応となります。
人工股関節手術(置換術)は、変形性股関節症や関節リウマチなどの病気で股関節が変形したり、軟骨がすり減ったりしたときに、人工の関節に置き換える手術です。手術によって痛みが消失し、股関節の動きがスムースになり安定した歩行が可能となります。

人工股関節手術の平均入院日数は?

人工股関節は、骨盤側に取り付けるカップと、大腿骨内に挿入するステムと呼ばれる部分から構成されます。
骨に固定する方法として、骨セメントを使用するセメント人工股関節と、骨セメントを使用しないセメントレス人工股関節があります。
いずれの固定方法でも良好な初期固定性が得られれば、術翌日から歩行訓練が開始できるでしょう。1本杖もしくは杖なし歩行と階段昇降が可能となれば自宅退院となります。
その目安は、片側のみの手術で1週間、両側同時手術で10日から2週間が平均的入院日数であります。
人工股関節手術を受けた後は、金属と骨がくっついて安定するまでには1~3か月の期間を要するため、高所からの飛び降りや急激な動きを必要とするスポーツへの復帰は避けたほうが良いでしょう。

私が行っている筋腱完全温存手技によるALS-THA(仰臥位前外側アプローチによる)では術後のスポーツ復帰も可能となりますが、スポーツへの復帰は術後3か月以降とさせて頂いております。3か月以降経ちますと、金属と骨がしっかりとくっついて安定しますので、打撃を伴うような激しいスポーツ(ラグビー・アメフト・総合格闘技など)以外のスポーツへは十分に復帰可能となります。

人工股関節置換術にはいくつかの手術アプローチがある

人工股関節手術には、いくつかの手術進入路(アプローチ)があり、脱臼率は手術アプローチによって変わります。術後の脱臼を予防するためには、できる限り筋肉や腱を切らずに行う前方系のアプローチが適しています。大腿骨頭壊死症とはそれ自体は治らない疾患ですが、良い治療法が確立された疾患であるとも言い換えることができると思います。決して悲観することなく治療に臨まれるのが良いでしょう。

手術アプローチの違いはこちら>>

脱臼リスクが少ない手術方法、仰臥位前外側アプローチ(ALS THA)を検討している方は、ご相談に乗りますので、ご連絡ください。人工股関節専門ドクター・久留隆史医師がご回答致します。板橋中央総合病院にて外来受診可能です。

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